現場で伝票作成できるようになり業務効率UP
山田製玉部の玉子焼きは関西圏の飲食店や旅館、ホテル、給食会社などで使われ、地元メディアでも数多く取り上げられてきました。
「卵の焼き方にはこだわり、職人が丁寧に焼き上げています。効率化のための機械や衛生管理といった新しい技術を導入しつつも、昔ながらの焼き方を大事にし、人の手でひとつひとつ作っているというのが山田製玉部の強みです。」(山田氏)
神戸の老舗ベーカリーとコラボした厚焼き玉子サンドなど、他社との商品開発にも力を入れる同社。2020年からのコロナ禍での宿泊施設や飲食店の休業により、売上が激減。そしてこれを機に、同社の事業は転換期を迎えることになります。
「コロナ禍の影響はもろに受け、2020年4月には売上が前年の半分にまで落ち込みました。年末には何とか90%ぐらいまでは回復したのですが、度重なる緊急事態宣言でまた半分ほどにダウンしてしまって。ただ、そこからコロナに負けない会社づくりを目標に、従業貝と情報共有をしながら何ができるか前向きに考えていこうという事で、これまでの外食メインから中食へと、事業のシフトチェンジに乗り出しました。」(山田氏)
法人向け事業(外食)の売上減少への打開策として、BtoC(一般消費者向け)ビジネスの施策を試みました。
「ふるさと納税の返礼品として登録した玉子焼きの詰め合わせが好評いただいたのをきっかけに、個人のお客様も見やすいようホームページを改善したり、ECサイトやInstagramもスタートして、ブランディングを強化していきました。」(山田氏)
Instagramでは商品や、商品を使ってフォロワーが作った料理などを紹介。フォ□ワー数は若々と増え、アカウントを見てオファーしてきたというカフェとのコラポも実現しました。
「これからはもっとお客様とのつながりを意識して、例えばアンバサダーの新設など、一緒に商品開発をしていけたらと考えています。チャンジしなければ絶対に成功するという事はないので。やってみてダメだったら方向転換すればいい。やらずに後悔はしたくないという思いで取り組んでいます。 」(山田氏)
山田製玉部では2019年に『賑売大臣』と株式会社シンニチの『ハンディ業務名人』を導入し、伝票入力作業のシステム化を実施しました。
「伝票処理において、手書きなどのアナログ作業などで時間がかかっていました。実務の効率化の相談を代理店さんにしたところ、現場をよく把握した上で提案してくれたのが大臣シリーズでした。」(山田氏)
以前は、注文を受けた営業部門が伝票を手書きで記入し、売上記録をノートに転記。その2点を挙務部門でつけ合わせた上でオフィスコンピュータに入力していました。
事務スタッフ4人体制でチェックしていたのでミスはほとんどなかったのですが、その分手がとられていました。現在は営業が入力した受注データがそのまま『販売大臣』に流れてくるので、つけ合わせ作業は不要になりました。前年比の売上確認表やグラフといった分析資料も、 以前と同じものを『販売大臣』で出力できています。」(望月氏)
営業では、納品書の作成を手書きから「ハンディ業務名人」へ切り替え。タブレット端末で入力した受注データはそのまま『販売大臣』に転送されます。
「金額も自分で計算していたのが「ハンディ業務名人」では自動化されて、ラクになりました。また、見込みの受注入力を前日のうちからできるようになったことで、翌日に受注して、納品書を書いて商品を発送するまでの一連の作業にかかっていた時間が30分ほど短縮できています。 注文履歴も『販売大臣』で確認できるようになりました。」(小田氏)
事務では、業務の属人化を防ぐ試みも始まりました。
「効率化のためとはいえ、これまでの業務のやり方が大きく変わり、最初はやはり大変でした。ある程度落ち着いてきた頃にコロナ禍になってしまったわけですが、その時に誰かが体調を崩して休んでも仕事が回るように、スタッフ同士で仕車内容をシェアしていくことにしました。それができるようになったのは、今回のシステム化によって時間的余裕ができたからかなと思います。」(望月氏)
従釆の業務を『販売大臣』に移管した次のフェーズとして、 未着手の在庫管理のシステム化、さらに機能や活用方法をより理解して業務に応用していきたいと話します。 「集金漏れの防止や、長期間途切れている取引の把握などができるようにと『顧客大臣』も導入しましたが、後回しになっている状態です。『賑売大臣』とあわせてもっと活用の幅を広げていきたいです。」(望月氏)
「今は、システム化に業務スタイルが大きく変わった段階。ここからより山田製玉部に合った運用ができるよう、味付けしていけたらと考えています。」(山田氏)